EAが1日で約22万円減った日をきっかけに、経済指標の発表から円高・円安の向きを当てられないかを、2020〜2026年の74,133件の発表で確かめました。「結果が予想より強ければ、その国の通貨が上がる」で当てると、発表から5分の向きは71%当たりました。ところが、通知を受けて動ける5分後から先は46〜48%で、当てずっぽうと変わりませんでした。「くたびれもうけ」と判断して、作るのをやめました。

この記事を書いた背景

作り直したEAは、流れが変わると、逆側の札をまとめて切ります。バックテストでは、2024年7月29日に流れが売りに変わり、買い22件を一度に切って、1日で約22万円減りました。ほかにも1日で大きく減った日を並べると、どれも急な円高で買いをまとめて切った日でした。日銀の利上げ、米国の利下げの観測、為替介入への警戒、コロナの急落です。

円高が来る前に分かれば、自分で先に整理できるかもしれません。そこで、EAとは別のプログラムで、経済指標の発表ごとにドル円の向きと強さを予想し、スマホに通知することを考えました。EAの作り直しの全体はAIと2週間でEAを作り直したに書いています。

確かめ方:発表の時点で分かっていた数字だけを使う

MT5には、経済指標の予定と結果が入ったカレンダーがあります。これと値動きを書き出すプログラムを作り、2020〜2026年の8つの通貨の発表74,133件について、発表から5分・30分・1時間・1日・1週間の動きを並べました。

予想の当たり外れは、発表の時点で分かっていた数字だけを使う決まりで確かめました。あとから分かる値動きを使って「当たった」と言わないためです。

そもそも、円高は発表の時刻に起きていなかった

まず、大きく減った日の前の円高が、発表で起きていたのかを見ました。日米以外の発表では、ほとんど動いていませんでした。日米の発表でも、直後30分の動きは下げ全体の一部でした。

2024年7月のドル円の下げ754pipsのうち、日米の発表の直後30分に動いたのは36pipsだけ。残りの718pipsは発表の時刻以外に動いた2024年7月のドル円の下げ 754pips の内訳日米の発表の直後30分:36pips発表の時刻以外:718pips発表の時刻以外 718pips(95%)日米の発表の直後30分 36pips(5%)
図1 2024年7月のドル円の下げのうち、日米の発表の直後30分に動いた分

2024年7月は、754pipsの下げのうち、日米の発表の直後30分に動いたのは36pipsだけでした。残りの多くは、発表の時刻以外に進んでいました。要人の発言や為替介入、介入の前ぶれといわれるレートチェックなど、カレンダーに載らない出来事です。

発表の結果から、向きは当てられなかった

それでも、発表のあとの向きが当てられれば役に立ちます。日米の重要な発表で、5分で20pips以上動いた205回について、「結果が事前の予想より強ければ、その国の通貨が上がる」という決まりで向きを当ててみました。

「結果が事前予想より強いと、その国の通貨が上がる」で向きを当てた割合。発表から5分は71%、通知を受けて動ける5分後から1時間後は48%、1日後46%、1週間後48%で、当てずっぽうの50%と変わらない0%25%50%75%100%発表から5分:71%71%発表から5分5分後→1時間後:48%48%5分後→1時間後5分後→1日後:46%46%5分後→1日後5分後→1週間後:48%48%5分後→1週間後当てずっぽう(50%)日米の発表で、5分で20pips以上動いた205回(2020〜2026年)「結果が事前予想より強い→その国の通貨が上がる」で向きを当てた割合
図2 発表の結果で向きを当てた割合(2020〜2026年、日米の発表205回)

発表から5分の向きは71%当たりました。結果と予想の差で、最初の動きはおおむね説明できます。ところが、通知を受けてから動けるのは早くても5分後です。そこから1時間後・1日後・1週間後の向きは46〜48%しか当たらず、当てずっぽうの50%と変わりませんでした。

ほかの決まりも試しました。最初の5分の動きに乗ると約50%、過去10日の「予想とのずれ」を足し合わせても53〜55%でした。「10営業日で3円下げた」あとも、さらに2円以上下げたのは46回中18回、2円以上戻したのは19回で、向きは五分五分でした。

どの発表が動きやすいかは分かった

向きは当てられませんでしたが、どの発表で大きく動きやすいかは分かりました。

発表から5分で20pips以上動いた割合。FOMC経済予測58%、雇用統計53%、消費者物価50%、FOMC金利決定47%、日銀展望レポート41%、日銀金利決定33%、小売売上高32%、ISM製造業28%0%米国 FOMC経済予測米国 FOMC経済予測:58%58%米国 雇用統計米国 雇用統計:53%53%米国 消費者物価米国 消費者物価:50%50%米国 FOMC金利決定米国 FOMC金利決定:47%47%日銀 展望レポート日銀 展望レポート:41%41%日銀 金利決定日銀 金利決定:33%33%米国 小売売上高米国 小売売上高:32%32%米国 ISM製造業米国 ISM製造業:28%28%2020〜2026年のドル円。発表ごとの回数は26〜82回
図3 発表から5分で20pips以上動いた割合(ドル円、2020〜2026年)

米国の雇用統計・消費者物価・FOMCは、発表から5分で20pips以上動く割合が約5割でした。日銀の金融政策の発表は、ふだんは静かですが、大きいときは80〜115pips動きます。大きく動く時期を知らせる物差しにはなりそうです。

「くたびれもうけ」として、やめた

向きを当てる通知は、作っても役に立たないと判断して、手を止めました。EAの切り方も変えていません。1日に切る数に上限を付けると、1日で減る額は約22万円から約10万円に下がりますが、約7年の稼ぎが約36万円減ったからです。約2年に1回、1日で20万円前後減る日があることは受け入れることにしました。

大きな発表の予定や「10営業日で3円下げた」といった知らせだけなら作れるので、それは今後の課題として残しています。

まとめ

経済指標の発表74,133件で確かめると、発表の結果で向きが当たるのは最初の5分だけで、通知を受けて動ける5分後から先は当てずっぽうと同じでした。そもそもEAが大きく減った日の円高は、多くが発表の時刻以外に進んでいました。

これは私が過去のデータで確かめた記録で、発表での売り買いについて何かを勧めるものではありません。

よくある質問

経済指標の結果で、円高・円安の向きは当たりますか?

私が2020〜2026年の日米の発表205回で確かめたときは、発表から5分の向きは71%当たりました。ただ、通知を受けて動ける5分後から1時間後・1日後・1週間後の向きは46〜48%で、当てずっぽうの50%と変わりませんでした。

EAが大きく減った日の円高は、発表で起きていたのですか?

多くは発表の時刻以外で進んでいました。2024年7月は、ドル円の下げ754pipsのうち、日米の発表の直後30分に動いたのは36pipsだけでした。日米以外の発表では、ほとんど動いていませんでした。

どの発表で大きく動きやすいですか?

私のデータでは、米国の雇用統計・消費者物価・FOMCが、発表から5分で20pips以上動く割合が約5割でした。日銀の金融政策の発表は、ふだんは静かですが、大きいときは80〜115pips動きました。

確かめたあと、EAは何か変えましたか?

変えていません。向きを当てる通知は役に立たないと判断してやめました。1日に切る数に上限を付ける案も、約7年の稼ぎが約36万円減るので入れず、約2年に1回、1日で20万円前後減る日があることを受け入れました。