この記事を書いた背景
私は自分でEAを書いて動かしている個人トレーダーです。この記事は、私が4年前に自作のトラップ型EAで口座をほぼ失ったときの記録です。
このサイトでは、そこから4年後にEAを作り直して、もう一度動かすまでの検証と運用を記録していきます。その出発点になるのが、この失敗です。うまくいった話よりも、なぜ飛んだのかを先に書いておきます。
動かしていたEA:上がるほど売りを足していくトラップ型
当時はMT4に、MQL4で自作したEAを載せて、海外のFX業者(XMTrading)の口座で動かしていました。通貨はドル円です。
しくみは、決まった値幅ごとに売りの札を置いていくトラップ型です。おおまかには、20pipsごとに売り、50pips下がったら利確します。値段が上がれば上がるほど、売りの札を足して持ち続ける形でした。
相場が行ったり来たりしている間は、小さな利確が何度も積み上がります。勝率は高く、毎日のように利益が出ます。その裏で、一方向に動いたときに持ち続ける札が増えていく弱点がありましたが、当時の私はそこを深く考えていませんでした。
100万円から始めて、約2年で1,000万円を超えた
最初は100万円から始めました。動かしながら、自作のプログラムを少しずつ直していきました。1年かけて、口座は倍の200万円になりました。
そこで「もっとトラップを多くしたい」と思い、調子に乗って資金を200万円足しました。元手は合わせて300万円です。そこから1年かけて、口座は1,000万円を突破しました。
「これはもうかる」と、さらに調子に乗りました。中古で400万円ほどの外車を買って、いきがっていました。今思えば、このころがいちばん危ない状態でした。
2022年9月、1週間の円安で口座がほぼゼロに
夏の終わりに、急な円安が来ました。ドル円は2022年8月30日の約138.7円から、9月7日には約144.4円まで、1週間で約5.7円上がりました(アメリカの中央銀行が公表している日足の値)。
円安の気配には、その前から気づいていました。トラップ型は札をたくさん持つので、円安が続くと、札の数と含み損がはっきり増えていくのが見えるからです。
それでも、止める気はありませんでした。頭にあったのは「止めるべきか。いや、また戻ってくれれば大儲けできる。耐えてくれ!」という思いです。むしろ、今まで通り戻るだろうと考えて、追加で資金を入れるかどうかを悩んでいました。
仕事も手につかず、ひどいありさまだったと思います。その思いはむなしく、口座は持ちこたえられずに、1週間ほどでほぼ全額がなくなりました。
なぜ飛んだのか:手法よりも3つの決め事がなかった
トラップ型は、相場が行ったり来たりする間は強いしくみです。私の場合、問題は手法そのものより、次の3つを決めていなかったことでした。
- 切るルールがなかった。どこまで含み損が膨らんだら札を切るのか、どこで止まるのかを決めていませんでした。そのため、判断がすべてその場の気持ちに任されました。そして、その場の私は「耐えてくれ」としか考えていませんでした。
- 検証が足りなかった。1週間で5円以上動くような一方向の相場で、自分のEAがどうなるかを、事前に確かめていませんでした。
- 調子に乗ってロットを大きくした。勝っている間に資金を足し、札を増やしました。うまくいくほど、一方向の動きに弱い形になっていきました。
勝っている間は、残高は増え続けます。その裏で持っている札の含み損は大きくなっていても、残高だけを見ていると危険が見えません。私が見ていたのは、増えていく残高のほうでした。
「もうやらない」と決めてから、4年後に作り直すまで
全部なくなったあと、「もうやらない」と決めました。外車はそのまま乗り続けましたが、維持費も高いので、車検が来たときに売りました。生活自体は、そこまで変わらなかったと思います。
それでも、やはりギャンブラー気質なところがあるのだと思います。前にダメだった理由は「切るルールを決めなかったこと」「検証不足」「調子に乗ってロットを大きくしたこと」とはっきりしていました。そこを直して、もっとうまく付き合えたらどうなるんだろう。そう気になり始めたのが、作り直すきっかけでした。
2026年10月、4年ぶりにEAを作り直しました。今回は「利益を伸ばすEA」より「生き残れるEA」を先に考えています。前回の3つの反省に合わせて、次のように決めました。
どう作り直したか、どんな検証をしたかは、このサイトで1つずつ記録していきます。これは私がこう決めたという記録で、この形で勝てると約束するものではありません。
まとめ
私は自作のトラップ型EAで、元手300万円を約2年で1,000万円超まで増やしました。そして2022年9月、1週間の円安でほぼ全部失いました。危ないことには早くから気づいていましたが、切るルールがなかったので、止めずに「耐えてくれ」と祈るだけでした。
4年たって作り直すにあたり、いちばん最初に決めたのは、どこで止まるかです。うまくいっているときほど、残高ではなく「いま持っている札」を見るようにしています。
よくある質問
トラップ型のEAは、なぜ一気に口座がなくなることがあるのですか?
私のEAの場合は、値動きに合わせて売りの札を次々に持つしくみでした。一方向に大きく動くと、利確されない札が積み上がり、その含み損を口座全体で受け止めることになります。札を止める上限や、損を切る線を決めていなかったので、1週間の円安で口座がほぼゼロになりました。
危ないことには、いつ気づいていましたか?
かなり早い段階で気づいていました。トラップ型は札をたくさん持つので、円安が続くと札の数と含み損がはっきり増えていきます。それでも止める気はなく、「また戻れば大儲けできる」と考えて、追加で資金を入れるかどうかを悩んでいました。
全部失ったあと、なぜまた自動売買を始めたのですか?
一度は「もうやらない」と決めました。ただ、ダメだった理由が「切るルールがなかった」「検証が足りなかった」「調子に乗ってロットを大きくした」とはっきりしていたので、そこを直してうまく付き合えたらどうなるのかが気になり、4年後に作り直すことにしました。
作り直したEAでは、何を変えましたか?
持つ札の上限を決め、口座が元本の30%まで減ったらすべて整理して止まり、続けるかは自分で決めるようにしました。始めるロットは小さくし、利益が貯まってから少しずつ上げます。動かす前に、過去約12年分のデータで弱点を探しました。これは私がこう決めたという記録で、成績を約束するものではありません。