MT5の最適化は、設定の値を変えながら何十〜何百通りもまとめてバックテストできる便利な機能です。ただ、一番稼いだ値をそのまま使うと、たまたま当たった値をつかむことがあります。私は、①その値の近くの値でも崩れないか、②選ぶのに使っていない期間でも崩れないか、③回し直しても同じくらいか、の3つを確かめています。流れの線の日数では、隣の値に1つずらすだけで総損益が+150.7万円から+41.7万円に下がる場面がありました。

この記事を書いた背景

2026年10月、作り直したトラップ型EAの設定を決めるのに、MT5の最適化を28回使いました(EA全体の話はAIと2週間でEAを作り直した)。最適化は、設定の組み合わせを全部回して成績の順に並べてくれます。便利な反面、表の一番上の値を選ぶだけだと、その期間にだけ合った「作られた数字」になりやすいと感じました。バックテストの手順そのものはMT5のバックテストのやり方にまとめています。

隣の値に1つずらすだけで、大きく下がった

私のEAは、日足の2本の移動平均線(短い線と長い線)で、売りと買いを切り替えます。だましを減らそうとして、線の日数を長くする9通りを回しました。

流れの線の日数を長くした9通りの総損益。短い線20・長い線50が+150.7万円で一番良かったが、短い線30にすると+41.7万円、長い線75にすると+46.9万円と、隣の値で大きく下がった。6通りはマイナス長い線50日75日100日短い線20日短い線20日・長い線50日:+150.7万円+150.7万円短い線20日・長い線75日:+46.9万円+46.9万円短い線20日・長い線100日:−117.5万円−117.5万円30日短い線30日・長い線50日:+41.7万円+41.7万円短い線30日・長い線75日:−23.6万円−23.6万円短い線30日・長い線100日:−15.8万円−15.8万円40日短い線40日・長い線50日:+106.1万円+106.1万円短い線40日・長い線75日:−63.5万円−63.5万円短い線40日・長い線100日:−65.2万円−65.2万円最適化O005(2020年1月〜2026年10月・資金300万円)
図1 流れの線の日数を長くした9通りの総損益(資金300万円)

一番良かったのは、もともとの短い線20日・長い線50日でした。気になったのは、その隣です。短い線を30日にするだけで+41.7万円、長い線を75日にするだけで+46.9万円まで下がり、9通りのうち6通りはマイナスでした。こういう「崖」の上にある値は、少し相場が変わっただけで崩れるおそれがあります。20・50も、たまたま当たっただけかもしれないと疑いました。

確かめ方1:近くの値でも崩れないか

そこで、20・50のすぐ近く(短い線15〜25日・長い線40〜60日)の9通りを回しました。

短い線20・長い線50の近くの9通りの総損益。9通りすべてプラスで、20・50の上下左右も+94万〜+146万円。なだらかな山の形長い線40日50日60日短い線15日短い線15日・長い線40日:+14.4万円+14.4万円短い線15日・長い線50日:+100.7万円+100.7万円短い線15日・長い線60日:+133.2万円+133.2万円20日短い線20日・長い線40日:+93.9万円+93.9万円短い線20日・長い線50日:+160.4万円+160.4万円短い線20日・長い線60日:+146.2万円+146.2万円25日短い線25日・長い線40日:+129.0万円+129.0万円短い線25日・長い線50日:+113.9万円+113.9万円短い線25日・長い線60日:+16.5万円+16.5万円最適化O006(同じ期間・別のパソコン)
図2 20・50の近くの9通りの総損益(同じ期間。別のパソコンで回したので、図1とは数字を直接比べない)

今度は9通りすべてプラスで、20・50の上下左右の4通りも+94万〜+146万円でした。弱いのは角の2つだけです。20・50の周りは、崖ではなく「なだらかな山」になっていました。これで、20・50はたまたまではないと判断して使い続けています。

同じ確かめ方を、ほかの値にも使いました。離れた札を切る値幅を8〜16円で変えると、10〜16円はほとんど同じ結果でした。

離れた札を切る値幅を8〜16円で変えた総損益。10〜16円は+181.1万〜+181.5万円でほぼ同じ。8円は+168.9万円08円8円:+168.9万円+168.9万円10円10円:+181.4万円+181.4万円12円(使っている値)12円(使っている値):+181.1万円+181.1万円14円14円:+181.3万円+181.3万円16円16円:+181.5万円+181.5万円最適化O017(2020年1月〜2026年10月・資金300万円)
図3 離れた札を切る値幅を変えた総損益

結果が平らに並ぶところの値なら、少しずれても大きくは変わりません。私は、山の頂上のとがった1点より、平らなところの真ん中を選ぶようにしています。

確かめ方2:選ぶのに使っていない期間でも崩れないか

近くの値で崩れなくても、選ぶのに使った期間(私の場合は2020〜2026年)にだけ合っていることがあります。そこで、選ぶのに使っていない2015〜2019年でも回しました。

結果は5年で+7.9万円で、ほとんど稼げていませんでした。さらに、大きく動いたときにロットを25%に減らす「警戒」の設定は、2020〜2026年で選んだ値でしたが、2015〜2019年では逆に働いていました。0.05ロットの場合、減らさなければ+56.6万円、25%に減らすと+7.9万円です。期間を変えると、良し悪しが逆になる値もある、ということです。最後は、2015〜2026年の12年を通して、どちらの期間でも大きく崩れない値を選び直しました。

確かめ方3:回し直しても同じくらいか

最適化は1回ごとの取引の明細が出ないので、良さそうな組み合わせは、1つずつ回し直してレポートを取っています。このとき、同じ設定でも5万〜10万円ずれることがありました。違うパソコンで回すと、もっとずれました(図1と図2の20・50は、同じ設定で+150.7万円と+160.4万円)。ずれの大きさを知っておき、それより小さい差では「どちらが良い」と決めないようにしています。

まとめ

MT5の最適化で一番稼いだ値は、そのまま信じないようにしています。近くの値でも崩れないか、選ぶのに使っていない期間でも崩れないか、回し直しても同じくらいか。この3つを確かめて残った値だけを使っています。

これは私が自分のEAで試した記録です。バックテストや最適化の結果は、これからの成績を約束するものではありません。

よくある質問

MT5の最適化で一番成績の良かった値は、そのまま使えますか?

私はそのまま使わないようにしています。流れの線の日数では、一番良かった値の隣に1つずらすだけで、総損益が+150.7万円から+41.7万円に下がる場面がありました。その期間にだけ合った値の可能性があるからです。

「たまたま当たった値」かどうかは、どう見分けますか?

私は、その値の近くの値も回して、崩れないかを見ています。周りもプラスで、なだらかな山の形になっていれば使います。周りが急に下がる崖の上の値は避けます。離れた札を切る値幅のように、結果が平らに並ぶところでは、その真ん中を選んでいます。

選ぶのに使っていない期間で確かめると、何が分かりましたか?

2020〜2026年で選んだ設定を2015〜2019年で回すと、5年で+7.9万円しか稼げませんでした。大きく動いたときにロットを減らす設定は、期間によって良し悪しが逆になりました。最後は12年を通して、どちらの期間でも大きく崩れない値を選び直しました。

同じ設定でも、結果がずれることはありますか?

ありました。同じ設定を回し直すと5万〜10万円ずれ、違うパソコンで回すと、同じ設定で+150.7万円と+160.4万円のように、もっとずれました。ずれより小さい差では、どちらが良いと決めないようにしています。これは私の記録で、これからの成績を約束するものではありません。